無駄に膝を使う

21.9キロ歩いた。

 

 

どこへと言われたら、ハローワークへ行って、帰ってきたのである。

歩いて。

 

なんで歩いたのかと言われたら、以前も歩いて行ったからだ。

 

習慣というものは怖い。

意味もないのに、20キロも歩いてしまうのだ。

 

以前歩いたのは、壮絶に暇かつ不安で、ハローワークの予約が10時で、息子の病院の面会時間が15時からで、自宅からハローワークと、ハローワークから病院が、それぞれ10キロほど離れていたからだ。

 

今は当時よりは不安ではない。また、できれば今日、布団を干すとか洗濯するとか山に登るとかしたかった。桃太郎の保護者みたいだけど。

関東地方で今週山に登るなら、本来 今日がベストの天気であったと思う。無職なのになあ!うまいこといかないものだよ。

 

そこは仕方ないのだが。

明日は今日ほどではないにしろ、天気は良さそうだ。ミツマタの花が咲いたかどうか、西丹沢に見に行こうかと思っていた。

それなのに、今日、20キロ歩いてしまった。

 

膝が痛い…ような、きしむ…ような。

松坂、違和感ってこういうこと?

(誰!?)

 

子どもたちには、明日起きて、膝が大丈夫なら山に行くよと伝えておいた。

さもなくば汝等、二度寝の母を目の当たりにすることであろう。

 

 

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ハローワークの帰りに固いプリンを食べた。

高橋一生中村倫也のサインがあったよ。

弱いほうから5番目ぐらい

両手杖のガリヒョロ男子と白髪のおばさんが、昼下がり。団地の道を行く。

 

小中高はコロ休み。平日ながらも老若男女がそれなりに行き交い。

街路樹の枝を落し、スマホを見ながらチャリ走し(ヤメロもしくはセルフ事故ってスマホ潰れろばか野郎)棒アイスを買い食いし、園児は転び、老爺は佇み、マダムは立ち話す。

 

それぞれの老、病、幼。思想哲学主義志向やら資金やら。

ひっくるめて息子と私は、弱者になった。

弱いほう。さすがに最弱とまでは言わないが、立ち話のマダム2人と戦ったら勝ち目は薄い。

相手はまず、息子の杖を払って倒しにくるだろうから、息子は倒れた状態からの防御と、その姿勢のままで杖を振るうなど、脚への攻撃に集中する。できれば脛を折っておきたい。

その間、私はマダムBを確実に仕留める。

よし。勝てる気がしてきた。

 

 

 

そうじゃなくて。

 

 

 

息子は足首や足指の不具合と、半年の入院生活による筋力低下のため、座ることや歩くことにリミットがある。

外出ではHP温存のためエレベーター利用が必須なのだが、元気なピープルはさっさとエレベーターに乗って、とっとと昇降してしまう。

我々の目の前で、満員でもないエレベーターを閉められたこともある。

無論即「開く」ボタンを押して乗り込んでやった。舐めんなよ。

 

気を遣ってくださる方々も多いのでポイズンガッデムとはならないんだけど。

ただ、通常運行時の自分を省みると、できる親切はしていたが、踏み込んだ親切はしていなかったと思う。

 

自分は席も狛犬ポジションも積極的に譲るけれども、譲るものもない時に、どうすればいいかわからなかった。

 

 

大丈夫ですか?

お困りじゃないですか?

 

 

今度はそう声をかけてみる。

ヘッドホンの人が気づいて、譲ったりしてくれるかもしれないしね。

 

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今日の舞の海 やっぱり変な服。

お相撲は、豪栄道がいないものだから、しんとした気持ちで見ている。

怒られるかもしれないけど、喪中みたいな感じ。無観客だから更に。しめやか。

それでもいい取組には声が出るし、やっぱりいいものですねお相撲は。

ホヤと酒粕

どうしてもダメな味がある。

 

ルーツが東北の酒飲みなのにこの味がわからないのは恥ずかしい限りなのだが、ホヤがダメだ。生も干したのも試したけど、なんともならない。

あと、酒粕も嫌い。

粕汁は美味しいけど、酒粕そのものを食べるの無理。甘酒も嫌い。

塩麹も一時期頑張って使ってみたけど、やっぱりダメだった。

 

若い頃嫌いだった、ブルーチーズやウイスキーは今や大好物になっている。

鮒鮨も好きだ。発酵物が苦手なわけではないのだ。

 

私だって、ホヤや酒粕を好きになりたい。

あまたの酒飲みが美味しいって言ってるんだから、そんなの食べたいに決まっている。

だけど、いい大人になってるのに。人生半分過ぎてるのに、美味しくないんだもの。

 

そう。ホヤで唯一美味しいと思ったのは、ばくらい。

ホヤの塩辛。これは生ホヤの「んにあっ!」ってテクスチャーと匂いが無くて。

好きな食べもの。旨い。

 

酒粕については、追加することはない。

▪️息子 2週間+3日

▪️息子 オムツがとれる。

便のコントロールができてきたので、パンツに変えてみるとの由。

 

▪️息子 アマゾンでなにかを買う。

代引きにできないため、コンビニ行きを志願。

近所のセブンにて、謎の金を払う。

 

▪️学校と会談

四月の復学に向けて。

本人が今できるようになったこと。これからの回復が見込まれること。難しいこと。

学校側からは、精神科・整形外科のドクターと話をしたいとの要望あり。可否を息子本人と各ドクターに確認要。

 

▪️息子 オムツに戻る。

特に臭わないので、さほどの粗相でもなさそうだが。本人に任せる。

 

▪️息子 アマゾンで別のなにかを買う。

今度は代引き。

 

▪️息子 ドラッグストアの買い物に同行する。

何度も休憩を入れながら、往復1キロほど歩く。頑張ったので、ラ王担々麺5袋パックとパピコを買ってあげた。

 

▪️ハローワークに行く。山に登る。映画館に行く。

この先一生、息子から目を離さずに、いられるわけもないのだから。どこかで、腹をくくるしかない。

 

▪️息子 皿を洗う。

シンクに寄りかかれば両手が空くからと、皿洗いをしてくれた。

 

▪️息子 散髪に行く。

漂流してきたボートピープルみたいだったが、こざっぱりした。人間らしさは散髪から。

 

▪️息子 退院後初の診察に行く。

院内でエスカレーターの乗り降りをしてみる。

整形外科でレントゲンを撮る。

ラバーガール大水先生(仮)の問診。

次回診察時、学校の先生の同行も可能との由。

義父母シゲルとヨシコ(仮)にクルマで送迎してもらう。大都市圏で後期高齢者にクルマの運転をさせてしまうのはどうにも気がひける。

 

▪️息子 裏山へ行く。

2キロほどの行程。長い下り坂、登りの階段を1度の休憩で歩き切る。

わたしは鼻水が止まらない。目も痒い。

 

▪️息子と電車に乗る。

隣駅にラーメンを食べに行く。

あまり美味しくなかった。お詫びにメロンクリームソーダを買ってあげた。

カバンからスイカを出して改札でタッチ、通り抜けてからスイカを仕舞う。両手で杖をついていると、一連の流れが割合に面倒のようだ。びよんびよんが付いた定期入れを探してみる。

 

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ここにも見守る人がいる。

だから掃除は嫌いなんだ

頭を洗ってふと床を見ると、隅に黒い点々が出ていた。

こないだ擦ったばかりなのに!

 

カッとして洗剤を撒いてこする。ちくしょう。

だから掃除は嫌いなんだ。

 

わたしは忠実なるお料理王国の民であって、お掃除帝国とは長らく距離を置くものであった。

だが無職になったら時間はあるし、ヒマが後ろめたい気持ちもあるから、風呂場はピカピカにしてみた。

 

なのにこの有り様だ。なんなんだよカビとかもうホントやだ。ていうか、風呂の床がひどい。人間が足を滑らせる危険があるエリアはだいたい限られてるんだから、壁際はツルツルでもいいじゃないか。団地の風呂場だからか?セレブの風呂場は壁際ツルツルなのか?

 

なんとかカビを退治して、ふと途方にくれた。

トリートメントしたっけ?

 

わかんない。

 

まあいいかと出てバスタオルで拭いてみるが、なんか頭髪がきしむような気がする。

 

きしむな。

 

風呂場に戻る。

さてトリートメントだ。

 

……頭を洗った。そこは、確かだと思う。

思うんだけど!

 

もう一切自分を信じられなくなったので、シャンプーしてみた。

CMみたいな泡が立ったし、頭に指を入れた瞬間、あ、これさっきやったやつだとわかった。ついでにトリートメントも、さっきやってたな…ってわかった。

 

 

 

だから掃除は嫌いなんだ。

息子帰る

半年かかってようやく、息子が帰ってきた。

 

自宅周りをリハビリ散歩していると、同じ棟の方に会う。

こんにちは。退院しました!と挨拶すると、腫れ物から挨拶されたびっくり具合でお答えいただき恐縮だ。

うちの子蘇ったぜ?よろしくな!

 

年末、年明けの一時帰宅時より、直立姿勢が安定して、できることが増えた。

片手杖で歩いて家中移動できる。

トイレも風呂も1人でこなせる。

 

なんと、キッチンに立って、1人でインスタントラーメンを作ることもできた。

作った丼は運べないんだがな。

 

昨日はとりあえず一緒に帰ってきてリハビリも一緒にした。

今日は、わたし1人で買い物に出てみた。

 

 

 

あの子を1人にして大丈夫だっただろうか。

 

 

 

闇雲に不安がもやもやと湧き出してくる。

もうしないと信じて、願ってはいるけれども。

 

歩行に杖が要る状態で、胸の高さの手すりを乗り越えて、飛び降りることはできないはずだ。

 

息子の体の不自由が、今やわたしの安堵の担保となっている。

 

体の回復は、できることを増やすことだから。

やり方も増えるはずだと怯える。だけどやっぱり、歩く距離が増えて、できることが増えるのは、嬉しい。

 

ほんとに歩き始めたあの子のあの頃のようだ。

 

心配で、心配で。

先回りして受け止めてあげたいけど、もう大きいから。

物理的にも心理的にも、単純に受け止められる相手ではないんだよな、と思う。

 

 

どうすればいいですか。

 

 

これでいいですか。

 

 

答え合わせは、今日明日の話ではない。

だから明日も、一緒に歩く。

ただ歩く。

 

 

こんなにも待ったことのない春

ドロヘドロが見たいから、0時まで起きていなくてはならないのです。

映像研予約してて、うちのレコーダー1個しか録画できんのですよ。

 

 

息子の杖を買いました。

長さが5センチほど、足りなかったです。

10段階調整できるとあったので油断して注文してしまいましたが、そりゃ調整にも限界はあるわけで。

 

……登山用の、トレッキングポールは、そんなに長さ厳密じゃないしさ。

介護用品なんて、わかんないもの!

 

今度は病院の杖を計って、理学療法士の先生にもアマゾンの画面を見てもらって注文しました。

合わなかった方は返品。

送料は1900円かかりましたが、ヤマトが集荷に来てくれるの助かるなあ。ブツがデカいから。

 

 

 

ご報告。水曜日に退院の予定なのです。

1月中にという心持ちではありましたが、31日に最後の校外委員会があったり(最後までいい感じに邪魔してくれますな!)、杖の調整その他あって、立春後の帰宅となる見込みです。

 

 

届いた杖の長さが足りなくて使えないことがわかった時、自分でもびっくりするぐらい、動揺してがっかりしてしまった。

なんでちゃんと長さを確認しなかったんだろう、息子に条件は聞いていたけれど、なんでリハビリの先生にも聞かなかったんだろう。

息子もがっかりさせてしまった。

単にいつもの拙速、せっかちからの粗忽なんだけど。ああもう、いやだいやだ。布団に潜って1人でヤダヤダ言っておりましたですよ。

 

もうね。自分で靴ひも踏んで顔から転んだみたいなね。なんだよもう。

 

………

 

ともあれ、今は月曜日。

新しい杖も届いたことだし。

明日のための、その1だ。

杖を合わせに息子の病院へ行ってきます!

 

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蠟梅が咲いていましたよ。

オオイヌノフグリも。

ようやく春がくるんだな。