だから掃除は嫌いなんだ

頭を洗ってふと床を見ると、隅に黒い点々が出ていた。

こないだ擦ったばかりなのに!

 

カッとして洗剤を撒いてこする。ちくしょう。

だから掃除は嫌いなんだ。

 

わたしは忠実なるお料理王国の民であって、お掃除帝国とは長らく距離を置くものであった。

だが無職になったら時間はあるし、ヒマが後ろめたい気持ちもあるから、風呂場はピカピカにしてみた。

 

なのにこの有り様だ。なんなんだよカビとかもうホントやだ。ていうか、風呂の床がひどい。人間が足を滑らせる危険があるエリアはだいたい限られてるんだから、壁際はツルツルでもいいじゃないか。団地の風呂場だからか?セレブの風呂場は壁際ツルツルなのか?

 

なんとかカビを退治して、ふと途方にくれた。

トリートメントしたっけ?

 

わかんない。

 

まあいいかと出てバスタオルで拭いてみるが、なんか頭髪がきしむような気がする。

 

きしむな。

 

風呂場に戻る。

さてトリートメントだ。

 

……頭を洗った。そこは、確かだと思う。

思うんだけど!

 

もう一切自分を信じられなくなったので、シャンプーしてみた。

CMみたいな泡が立ったし、頭に指を入れた瞬間、あ、これさっきやったやつだとわかった。ついでにトリートメントも、さっきやってたな…ってわかった。

 

 

 

だから掃除は嫌いなんだ。