退院はできない
ドラッグストアの開店セール。
名札の苗字が珍しいレジの店員は、息子の同級生だった。
幼稚園の頃の面立ちが残っている。
すらりとした若者は、少したどたどしく会計し、食品と雑貨は分けますかと聞いた。
一緒でいいです。
なんとなく呆然として、袋はいりませんと言えずに店を出た。
年内の退院はできない。ラバーガール大水似の息子の主治医に、逆太鼓判を押されたばかりだ。
その判断はあるだろうと思っていたが。がっかりしない訳じゃない。
だけどな。
大水先生(仮)にも言いたいことがある。
最初は10月末、次は11月末、そして12月末。
診断が難しいのかもしれないけれども。
毎月希望を持たせてがっかりさせるのは、本当にやめてくれないか?
だってあの子死のうとしてたんだよ?そんなにがっかりさせてどうすんのよ。バカなの⁈
………
プチっと八つ当たりしてみた。
退院はできないが、年内年始の外泊許可は出た。
歩行には必ず親が立ち会うようにとの、追加注文付きではあるが。
4ヶ月ぶりに、息子が帰ってくる。