お相撲は面白くて、見たら心が動いたりするという話
丸から出たら負け。
手とか膝とかついたら負け。
相撲はわかりやすい。
退社後のまぐろ屋でビールを飲んでいたら、会長がテレビのボリュームを上げた。
見るともなく見ると、お相撲さんとお相撲さんが相撲を取っていて、黒いほうが勝った。
日曜日に芋を剥きながらテレビを見ていたら、相撲が始まり、意外に面白く見ていた。
鍋に火を入れる頃、この間の黒いほうが出て、なんか強いのに勝った。
黒いのは、髪乱れすぎでハアハアしながらインタビューに答えていて、なんかかわいいなと思った。
黒いのはまわしの色で、その力士を豪栄道という。
相撲協会公式の画像↑
意外に面白いので、まぐろ屋ではテレビが見やすいカウンターの端に座るようにした。
相撲のある日、その席が埋まっていたことがある。
1人で来たのに会長がテレビが見えるテーブル席を勧めてくれた。
長居はしないが有り難く相撲を見ながら酒を飲んだ。会長はひまな時には向かいに座って、相撲談義をしていた。
そうやって相撲が好きになっていった。
他にもいいなと思う力士が見つかった。
※当時
今もよくわからないのだけど、たぶん、相撲が上手いと言われる人を好きになっているようだった。
あと、お菓子のひよこみたいな体つきの力士が好みだとわかった。豊ノ島なんか最高。
※モアイみたいな長身力士はあまり好みじゃないらしいです。
お相撲、見に行きたいな。
高いのかな。(椅子席ならそうでもない)
調べたら、インターネットでチケットの予約抽選販売があった。
以来ずっとチケット大相撲で国技館に行っていたのだけれども、今回は抽選に落ちて買えなかった。
相撲を見に行くのは楽しい。
国技館にしか行ったことがないのだけれども、来ている人誰もが楽しそうに行き交っている。
売店で買った缶ビール片手に、館内をひやかしたり。力士の入り待ちをしたり。お土産を買ったり。
その間にも土俵では取組がある。
入場の際に取組表がもらえるから、贔屓の力士が出る前に、席に戻ればいい。
席に戻れば、力士への声援だ。
ビールを飲みながら、にく処竜電のローストビーフ重1000円を頬張りながら。
声を限りに、その名を叫ぶ。
おっと時間いっぱいだ。
力士が集中してるときは、静かにしようぜ。
手拍子なんて、最悪だ。
太郎のカウンターで飲んでいると、相撲中継の音声が聞こえた。
豪栄道、勝ちましたか?
思わず声に出すと、店主は驚いた顔をしながら、大きなモニターのスイッチを入れてくれた。
それから相撲の期間中、行くと店主の斎藤さんは、黙ってモニターを付けてくれるようになった。
斎藤さんのお父さんは愛嬌のあるおじいちゃんで、妙義龍が贔屓だと知った。
おじいちゃんが店にいると、わたしも楽しくて、お酒を飲みながら相撲の話をして(時間が早いから他のお客さんもいなくて)斎藤さんも加わって、わたしは豪栄道と鶴竜が好きなんですけど、あんまりなんだか大きく勝たないんですよね、と言ったら、優しいのかな、気持ちが優しいのは難しいんだよと、言われた。
今場所は家のテレビで見た。
息子の見舞いは早々に切り上げ(息子もお分かり)見られる相撲は全部見た。
カド番の豪栄道は負け越して、陥落が決まった。
豪栄道が大関になってから、一度だって安心したことなんかない。
毎場所、取組ごと、心配で。
見に行けたときは、思いが届いて欲しいと、豪栄道と叫んで。
全勝優勝した場所だって、14日目まで安心できなかったんだから。
強いのに。上手いのに。
豪栄道豪太郎は、わたしにとって、そんな関取だった。
琴奨菊みたいに。
栃ノ心みたいに。
高安みたいに。
これからも、相撲を取ってほしかった。
鶴竜と、北勝富士と、竜電と、豊山と、阿炎と、錦木も、照ノ富士も、みんなみんな。
頑張ってください。見ています。
クリアファイルカッコいいでしょう!自慢。
裏は三横綱です。
最後のこれより三役を。